2016年3月31日に財務省はCircular
53/2016/TT-BTC(以下、通達53)を公布しています。
通達53は2016年1月1日以降に開始する会計年度から適用されますが、企業の選択により2015年の会計年度より任意適用が可能です。
1.期中の外貨建取引の換算レート
1.1. 原則
通達53(1条3項)によると、以下のように、全ての期中の外貨建取引において「実際の為替レート」を適用することが規定されています。
ケース |
改正前 (通達200の69条) |
改正後 (通達53の1条3項) |
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1 |
外貨を売買する場合 |
企業と商業銀行との取引契約に記載されたレート |
変更なし |
2 |
資本金を拠出する場合 |
企業が投資家から資本金を受け取る商業銀行の取引日(資本金拠出日)の「買いレート」 |
変更なし |
3 |
債権を認識する場合 |
企業が代金を受け取る商業銀行の取引日における「買いレート」 |
変更なし |
4 |
債務を認識する場合 |
企業が代金を支払う商業銀行の取引日における「売りレート」 |
変更なし |
5 |
未払勘定を通さず外貨で直接購入する資産や費用の場合 |
- |
企業が代金を支払う銀行の取引日における「買いレート」 |
1.2. 例外
企業は、原則として、上述の換算レートを適用するものの、財務諸表に重要な影響を与えないことを条件として、以下の簡便的な「近似レート」を任意で適用することができます。
- 企業が通常取引を行う銀行が公表する日次の買いレートと売りレートの平均レートに基づいて算定された、一定期間(日次、週次、月次)の平均レート(*)
(*)その平均レートの上下1%以内であれば、変更可能である。
〜例示~
以下の設例の通りとなると考える。
企業Aは、通常、X銀行にて取引を行っている。X銀行の2016年3月第1週のUSDとVNDの日次の買いレートと売りレートは以下のとおりである。この場合、平均レートは、22,300となる(なお、この平均レート(22,300)は上下1%の範囲にて変更可能である)。
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2.期末の外貨建貨幣性資産負債の換算レート
2.1.原則
通達53(1条3項)によると、外貨建貨幣性資産負債について、以下の「実際の為替レート」で期末日に換算すると規定されています。
ケース |
改正前 (通達200の69条) |
改正後 (通達53の1条3項) |
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1 |
外貨建貨幣性資産 |
企業が通常取引を行う商業銀行の期末日における「買いレート」 |
変更なし |
2 |
外貨建貨幣性負債 |
企業が通常取引を行う商業銀行の期末日における「売りレート」 |
変更なし |
2.2. 例外
期中の外貨建取引の換算レートに近似レート(上述1.2)を使用している場合、その企業は、通常取引を行う商業銀行の期末日における「買いレート」、「売りレート」、もしくは「その平均レート」を適用しなければいけない。